最近サラリーマンの間で、不動産投資が人気を集めています。不動産投資では、様々な費用を経費として計上できるので、税金を抑えることができます。
ただ、どういった費用が必要経費として計上可能かどうかは、なかなか判断に迷うところです。そこで、この記事では不動産所得で計上できる経費について解説していきます。あなたが不動産投資を始める際の参考になれば幸いです。
(この記事は、過去に書かれた記事を2018年9月5日に加筆修正したものです。)
不動産所得の基礎知識
まずは経費の説明に入る前に、不動産所得の計算方法や考え方についてご説明します。
不動産所得の計算方法
不動産所得=総収入金額—必要経費
不動産所得は、家賃収入や礼金などの総収入から、管理費やその他の費用を引くことで計算されます。そして、この不動産所得の金額に所得税率を掛けると所得税が計算されます。
必要経費として計上する金額が多くなるほど、不動産所得の金額が少なくなり、所得税を節税することができるのです。
必要経費の考え方
不動産投資における必要経費の考え方は、不動産を賃貸するうえで、それが必要な支出だったかどうかということです。不動産賃貸とは全く関係のないプライベートな費用を、経費として計上することはできません。
不動産投資をしていれば何でも経費にできるようにいう人もいますが、必要経費はあくまで不動産経営をする上での支出に限られますので、注意が必要です。
不動産投資で認められる主な必要経費
ここからは、不動産投資をする上で必要経費として認められる支出について、ご説明していきます。
管理費
管理会社に対して支払う管理費は、必要経費として計上できます。例えば以下のものが考えられます。
・建物を管理する管理会社への管理費
・入居者の募集や対応をしてくれる賃貸管理会社への管理費
修繕積立金
区分所有のマンションを保有している場合、修繕積立金を必要経費とすることができます。積立金という名前がついているので費用のように見えませんが、修繕積立金は将来の修繕費用に充てられるため、必要経費として計上できます。
損害保険料
火災保険や地震保険を不動産物件にかけた場合、それは必要経費となります。ちなみに、保険料を全額前払いしても、1年に1年分しか保険料を必要経費として計上できません。全期間分の保険料を、前払いした年にまとめて経費計上することはできません。
減価償却費
減価償却費とは、不動産の取得費用をその年に一括して経費計上するのではなく、耐用年数に応じて取得費を配分し、毎年経費として計上したものです。
減価償却費の計算方法には、「定額法」と「定率法」の2種類あります。代表的な方法が定額法ですが、これは毎年一定の金額の減価償却費を計上する方法です。
減価償却費の一番の特徴は、実際には現金を伴う支出を伴わないにも関わらず、経費として計上できるところです。
修繕費
通常の維持管理費用や、壊れた資産の修繕費用は、「修繕費」として経費計上できます。ただし、その支出が不動産の価値を増加させ、建物の耐久性を増やすような場合には修繕費とならず、「資本的支出」とみなされ、減価償却費のように分割して経費計上されます。
修繕費としては以下のようなものが考えられます。
・建物の外壁、ベランダなどの塗り替え
・内装工事費(各部屋の壁紙の張り替え、台所、エアコンなどの設備の交換・修理)
・畳や襖の張り替え等
各種税金
不動産購入時にかかる不動産取得税、毎年課税される固定資産税などの税金も、必要経費として計上できます。ただし、所得税や住民税は必要経費とはなりません。
・不動産取得税、登録免許税
・固定資産税、都市計画税
・不動産投資が事業的規模に相当する場合の事業税
・その他印紙税等
ローンの利息部分
不動産を購入する際にローンを利用した場合、そのローン返済額のうち利息相当部分のみ、必要経費として計上できます。実際は元本返済部分と利息相当部分の両方が現金を伴う支出として出ていきますが、元本部分は経費として経費計上することができません。
ローン保証料
ローンを利用した際にローン保証をつけた場合には、ローン保証料も必要経費として計上可能です。なお金融機関によっては、ローン保証料を利息に含めていることもありますので、よく確認してみましょう。
税理士に支払う手数料
確定申告をする際、税理士に依頼する人も多くいることでしょう。税理士に支払った費用も、必要経費とすることができます。
交通費
物件を見に行ったり、不動産会社と打ち合わせをしたり、セミナーに参加した際にかかった交通費は、経費計上が可能です。
ちなみ車で移動した場合にも、ガソリン代、駐車代、高速利用料、などの費用を経費計上できます。ただし、プライベートで利用することも考えられますので、全額計上するのではなく、税理士と相談した金額を計上するようにしましょう。
通信費
管理会社との電話による通話料、書面をやり取りする際の郵便代、インターネット通信料も経費とすることができます。ただし、経費として計上できるのは社会通念上認められる範囲内のみです。
新聞図書費
不動産に関係する新聞や、不動産関連の本にかかった費用も、経費に計上可能です。
参考:「不動産所得は必要経費の計上がポイント!節税方法まとめ」
不動産の規模が拡大した際の節税方法
不動産経営の規模が拡大した場合には、さらに大きな節税効果が受けられます。
事業的規模
所有する不動産が増え、「事業的規模」になると、さらに多くの必要経費が計上できるようになります。事業的規模と認められるには、戸建住宅なら5棟以上、マンションなら10室以上を所有している必要があります。
ちなみに、この5棟10室の基準はあくまで目安であり、家賃収入の規模によっては事業的規模とみなされることもあります。最寄りの税務署に相談してみるのがいいでしょう。
65万円の青色申告特別控除
不動産の規模が事業的規模になると、65万円の青色申告特別控除が利用できます。これにより、不動産所得をさらに圧縮することができ、節税につながります。
家族に給料を支払うことができる
事業的規模になると、青色事業専従者給与という給与を家族に対して支払うことができます。そして、これは全額経費として計上可能です。ただし、青色事業専従者給与を支払う場合には、実際に不動産管理に携わっているという勤務実態がないといけません。
未回収の家賃を経費にすることができる
入居者が家賃を滞納し、それが回収できなかった場合には、その年の必要経費として計上できます。
地震や火災による損失を経費にすることができる
地震や火災で建物に被害が発生した場合、損失の全額を経費として計上できます。損失がその年の不動産所得から差し引くことができない場合、他の所得から差し引くことができます。それでも足りない分については、翌年以降3年間にわたり損失を繰り越すことができます。
不動産所得と必要経費のまとめ
不動産経営では、様々な費用を経費として計上することができます。費用を適切に計上し、上手に節税しましょう。
この記事へのコメントはありません。