あなたは「スマートコントラクト」という言葉をご存知でしょうか?
スマートコントラクトとは、仮想通貨のブロックチェーン技術を用いて、契約を自動的に実行する仕組みのことをいいます。
参考:「ブロックチェーンとは?簡単にわかりやすく仕組みを解説!」
スマートコントラクトは次世代技術として非常に注目を集めており、今後世界を変えるポテンシャルを秘めています。
スマートコントラクトというと「イーサリアム」を思い浮かべる人も多いと思いますが、実はイーサリアム以外にも、スマートコントラクトを備えた仮想通貨は存在します。
この記事では、スマートコントラクトの基本から始まり、その応用事例、そしてスマートコントラクトを採用する様々な仮想通貨についても解説していきます。
この記事を参考に、仮想通貨に対する理解を深めてくださいね。
(最終更新日:2019年3月9日)
スマートコントラクトとはどんな技術?
イーサリアムの代表的な特徴がスマートコントラクトです。
まずはスマートコントラクトの仕組みから理解しましょう。
契約が自動的に実行される仕組み
スマートコントラクトという言葉は「スマート=賢い」「コントラクト=契約」で成り立っており、日本語に訳すと「賢い契約」となります。
スマートコントラクトとは、ブロックチェーンによって自動的に契約内容が実行される仕組みのことをいいます。
あらかじめブロックチェーン上に契約内容や履行内容、取引の条件などを記録しておくことで、条件が整うと、自動的に契約が実行されようになります。
スマートコントラクトは、改ざんが事実上不可能なブロックチェーン上に契約内容を記録するため、その契約は当然信頼できるものとなります。
従来までは、契約内容の確認や履行には人の手による監視が必要でしたが、スマートコントラクトを使えば、人の手を煩わせることなく自動的に行うことができるのです。
自動販売機のたとえ
スマートコントラクトを理解する上で、「自動販売機」を例に挙げると分かりやすいと思います。
自動販売機にお金を入れて、そして好きな飲み物のボタンを押すと、自動的に飲み物が出てきますよね?
これは自動販売機によって、お金を入れたら自動的に飲み物が出てくるという「契約の自動化」がされているんですね。
つまり、自動販売機もれっきとしたスマートコントラクトなのです。
「スマートコントラクト」と聞くと少し難しそうですが、「ある条件が満たされると、自動的に契約が実行される仕組み」を指しているにすぎません。
スマートコントラクトは、プログラムに基づいて自動的に契約が履行されますので、人の手を介するよりも安全・確実な仕組みだといえます。
スマートコントラクトの将来性
スマートコントラクトは、KDDIや富士通が実証実験を進めたり、様々な企業が開発に携わっており、近い将来、世の中に広く普及することは間違いないでしょう。
スマートコントラクトが普及すれば、中間者が必要だった従来の仕組みは不要となり、割安な手数料で様々なビジネスが行えるようになります。
そうすれば、世の中はもっと効率的になって、モノの取引が活発に行われ、割安な価格で商品を手に入れられるようになるでしょう。
と同時に、スマートコントラクトによって、今まで人の手が必要だった仕事がなくなってしまう可能性があります。
これからの時代、私たちの仕事はスマートコントラクトなどのコンピューター技術によって大半が奪われますので、コンピューターには真似できないスキルを身につけることが大切だといえます。
投資を始めたい人へ 投資初心者にお勧めの記事はこちら!
スマートコントラクトを使ったプロジェクト
ここからは、スマートコントラクトを活用したプロジェクトをいくつかご紹介します。
どれも非常に興味深いプロジェクトで、社会的意義の高いものばかりです。
スマートコントラクトがいかに優れた技術か、ご確認いただければと思います。
音楽サービス:Ujo music
Ujo musicとは、イーサリアムのスマートコントラクトを利用した音楽配信サービスです。
このサービスでは、アーティストの楽曲を聞きたい人がトークン(仮想通貨)を購入すると、即座にアーティストに収入が入るようになっています。
これにより、音楽業界の抱える問題点が解消されると言われています。
音楽業界は、レコード会社などが有利な立場に立っていて、アーティストにはほとんど収入が入っていかないのが現状です。
例えば、音楽CDの売上のうち、およそ50%近くがレコード会社の利益となり、アーティストに入ってくる収入はわずか1%程度なのです。
しかも、CDが売れても、収入が入ってくるのに1年以上かかるケースもあります。
こう考えると、音楽業界はアーティストの立場が非常に弱いといえます。
Ujo musicを利用すれば、楽曲販売時の多くの中間マージンを省くことができ、一連のプロセスを簡略・自動化することができます。
Ujo musicは、古い音楽業界を一新するパワーを秘めているのです。
参照:Ujo music
未来予測プラットフォーム:Augur
Augur(オーガー)とは、イーサリアムのスマートコントラクトを利用した未来予測(賭け事)のためのプラットホームです。
スマートコントラクトを利用することで、胴元が不在でも賭け事を成立させられるようになり、不正のない公平なシステムを作り出すことが期待されています。
例えば、「サッカーの試合で日本が勝てば、Aさんへ10万円を支払う」という契約をあらかじめ設定しておくことで、仮に日本が買った時には、スマートコントラクトによって自動的に支払いが行われるようになります。
参照:Augur
医療業界に革命を:Medicalchain
Medicalchain(メディカルチェーン)とは、ブロックチェーンとスマートコントラクトの技術を使った電子カルテのプラッフォームです。
メディカルチェーンにより、医師による診察結果や医療処置の記録、さらには薬局での処方などのすべてのデータを一元管理できるようになります。
これにより、病院側は患者の状態がすぐに分かりますし、別の病院で治療を受ける際の診断書や紹介状も不要となり、患者にとっても、そして医師にとっても、時間や労力を大幅に節約できるようになります。
メディカルチェーンが普及すれば、医療業界に革命が起きることでしょうから、今後に期待したいところです。
参照:Medicalchain
スマートコントラクトを採用した仮想通貨
スマートコントラクトを採用する仮想通貨は、何もイーサリアムだけではありません。
もちろん規模で言えばイーサリアムが一番ですが、NEO(ネオ)やリスク(LISK)など、様々な仮想通貨が存在します。
ここからは、スマートコントラクトを採用する代表的な通貨として、ネオとリスクを解説していきます。
NEO(ネオ)
基本情報
ネオは中国版イーサリアムと言われており、スマートコントラクトの機能を備えた仮想通貨です。
ネオの一番の特徴が、何と言っても中国で誕生したという強みであり、今後は多くの中国企業がネオを使ったサービスを展開していくと考えられます。
そうなれば、間違いなくネオの価格は上昇するでしょう。
特徴
ネオのスマートコントラクトは、処理性能や開発のしやすさに優れています。
性能の面では、イーサリアムの処理能力が1秒につき30件程度なのに対し、ネオはおよそ1,000件の処理が可能です。理論上、10,000件が処理可能とも言われています。
つまり、処理速度を比べると、ネオの方がイーサリアムよりも最大で300倍以上速いことになります。
また、開発のしやすさでいうと、ネオは「Java、.NET、Python、C」などの様々なプログラミング言語を採用しているため、多くの開発者が開発に携われるようになっています。
ネオの今後の成長には、大きく期待したいところです。
参照:NEO
LISK(リスク)
基本情報
LISK(リスク)とは、広く一般の人でもブロックチェーンの開発に携わることを目指すプロジェクトです。
リスクの開発言語にはウェブサイトでよく使われるjavascriptが採用されており、比較的容易に開発できるメリットがあります。
直近では、国内取引所のbitFlyerに上場したことでも有名となりました。
参考:「仮想通貨リスク(LISK )とは?将来性をわかりやすく解説」
特徴
リスクの一番の特徴が、開発言語に「javascript」を採用している点です。
javascriptは、世界中のウェブサイトのおよそ9割が採用しているぐらい、人気のある言語です。広く普及したプログラミング言語のため、プログラマーが新しく言語の勉強をする必要はなく、すぐに開発を進められるメリットがあります。
また、リスクは「サイドチェーン」を採用していることも大きな特徴です。
サイドチェーンとは、メインのブロックチェーンから枝分かれするようにブロックチェーンを作成することをいいます。サイドチェーンを使って別々に動作させた方が、メインチェーンだけで動作させるよりも処理能力が早くなるメリットがあります。
また、仮にサイドチェーンに問題が発生しても、そのチェーンだけを切り離せばすぐに問題を解決できるようになります。サイドチェーンは、処理速度や安全性の面で優れています。
参照:LISK
イーサリアムとブロックチェーンのを再確認しよう!
スマートコントラクトをしっかりと理解するには、ブロックチェーン技術を理解することが不可欠です。
この章では、イーサリアムの基本とブロックチェーンについて解説します。
なお、仮想通貨の基本から勉強したい人は、「仮想通貨の種類と特徴はこれで完璧!仮想通貨で稼ぐための全知識」もご覧になってください。
イーサリアムとビットコインの違い
イーサリアムといえば、時価総額2位の座にいる仮想通貨で、おそらく多くの人が、イーサリアムという言葉を一度は聞いたことがあると思います。
それに対して、時価総額1位の座にいるのがビットコインで、ビットコイン以外の通貨を「アルトコイン」と呼ぶぐらい、その知名度は抜群です。
ビットコインは、もっぱら決済や通貨としての機能しか有していませんが、それに対してイーサリアムは、決済機能の他にもスマートコントラクトといった機能も備えています。
そういう意味で、イーサリアムの方がより進化した通貨であるといえます。
なお、ビットコインとイーサリアムの違いについてもっと知りたい方は、「ビットコインとイーサリアムの今後の動向予想!どんな違いがある?」」を参考にしてみてください。
また、イーサリアムは、様々なアプリケーションのプラットフォームの役割を果たします。イーサリアムのブロックチェーンを利用して、誰でもアプリケーションを作成することができるのです。
イーサリアムは、独自のプログラミング言語を採用しているため、アプリケーションが作成しやすいようにできています。
イーサリアムを使った様々なアプリケーションが現在も開発されており、ICOも頻繁に行われているため、イーサリアムは、スマートコントラクトの分野では不動の地位を誇っています。
ブロックチェーン技術とは
さて、今回ご紹介するスマートコントラクトを理解するためには、「ブロックチェーン」を理解することが不可欠です。
「ブロックチェーンとは?簡単に仕組みを解説!」でも詳しくお話ししている通り、ブロックチェーンとは「仮想通貨の取引履歴を一つにまとめたもの」です。
要するに、ブロックチェーン技術とは、仮想通貨の取引履歴を記録する技術なんですね。
そして、仮想通貨のネットワークに参加するコンピューターは、お互いにブロックチェーンを保有しており、悪意のある人がブロックチェーンを改ざんしても、他のブロックチェーンと内容が一致しないため、改ざんがすぐに分かるようになっています。
当然のことながら、改ざんされたブロックチェーンは排除され、正しいブロックチェーンだけが残るような仕組みになっています。
このように、ブロックチェーンを改ざんすることは事実上不可能で、ブロックチェーンは非常に安全性が高い技術となっています。
なお、今回取り上げるスマートコントラクトも、ブロックチェーン技術を用いていますので、安全性や確実性が非常に高い技術です。
それでは、次の章からはスマートコントラクトについて、より詳しく解説していきます。
ブロックチェーンに対する理解をもっと深めたい人は、「仮想通貨のマイニングの仕組みとは?PoWとPoSの違いを詳細に解説」も読んでみてください。
投資を始めたい人へ 投資初心者にお勧めの記事はこちら!
スマートコントラクトのまとめ
今回は、仮想通貨のスマートコントラクトについて解説してきました。
いかがでしょうか?スマートコントラクトが普及すれば、より効率的な社会が実現することがお分りいただけたと思います。
スマートコントラクト銘柄に注目して投資してみても面白いかもしれませんね。
この記事へのコメントはありません。