イーサリアム(Ethereum)は、ビットコインに次いで2番目に時価総額が大きい仮想通貨です。
イーサリアムはビットコインのように決済手段として使用できることはもちろんのこと、イーサリアムを使って別の仮装通貨(トークン)を発行することもできます。
これがビットコインとの大きな違いです。
イーサリアムは2013年に構想され、2014年にリリースされましたが、浮き沈みを経験しながらも順調に価格を上げてきました。
しかし、2018年1月をピークに価格は下落を続け、今は低迷を続けています。
果たして、イーサリアムのチャートは長期的にどのような変化をたどるのでしょうか?
この記事では、イーサリアムの過去のチャートを分析し、それをもとに今後のイーサリアムのチャートを長期的に分析していきます。
参考:「イーサリアムのマイニングが終了するって本当?どんな影響がある?」
(最終更新日:2019年4月7日)
イーサリアムの過去のチャートを徹底分析
イーサリアムの今後の値動きを捉えるためには、過去にイーサリアムがどのような価格推移をたどってきたか理解する必要があります。
ここからは、イーサリアムの2017年からのチャートを分析してみましょう。
2017年〜2018年10月までの推移
イーサリアムの価格は、2017年は右肩上がりで推移しました。
2017年1月に900円程度だった価格は、6月に入るとおよそ4万円まで上昇しています。
6月に価格が上がった理由は、イーサリアムの開発者ヴィタリック氏がプーチン大統領と対話したことが考えられます。
2017年はその後もイーサリアムの価格が順調に推移し、2017年末から2018年1月にかけて、仮想通貨市場全体の上昇に引っ張られて15万円まで価格が高騰しました。
ところで、イーサリアムの価格は2017年から2018年初めにかけて、どうしてここまで高騰したのでしょうか?
イーサリアムの価格が上昇した理由を分析してみましょう。
上昇理由①ICOのプラットフォームとして人気があった
イーサリアムの価格が高騰した背景には、イーサリアムがICOのプラットフォームとして採用されたことがあります。
ICO(Initial coin offering)とは、新しく仮想通貨を発行して資金調達することをいい、IPO(新規株式公開)よりも早く簡単に資金調達できるのが特徴です。
ICOに参加するためには、イーサリアムを購入する必要があるため、イーサリアムの価格は上昇します。
イーサリアムのICOで注目されたのが、「OmiseGO」です。
OmiseGOのICOは2017年に実施され、2,100万ドルの資金を調達しました。
ICO後は、経済発展目覚ましいタイの金融庁に採用され、タイのマクドナルドと提携を行っています。
これ以外にも、イーサリアムでは様々なICOが行われ、イーサリアムの価格が上昇することにつながりました。
参考:「イーサリアムのスマートコントラクトとは?仮想通貨を徹底比較」
上昇理由②EEAへの期待
イーサリアムの価格が上昇した背景には、EEA(Enterprise Ethereum Alliance)への期待が高まったことも考えられます。
EEAとは、イーサリアムを使ったアプリケーションの作成を推進するプロジェクトです。
EEAには世界中の名だたる企業が参加を表明しており、JPモルガンやマイクロソフト、日本からはトヨタも参加しています。
多くの企業がEEAへの参加を表明したことで、イーサリアムに対する期待が高まり、価格が高騰したと考えられます。
2018年は一転して下落基調
2017年の上昇相場から一転、2018年に入るとイーサリアムの価格は下落を始めました。
イーサリアムの価格が下落した背景には、仮想通貨市場全体が規制のあおりを受けて下落基調にあったことに加え、イーサリアムを利用してICOを実施した企業が換金売りを始めたことが考えられます。
イーサリアムはICOのプラットフォームとして人気がありましたが、最近は集まったイーサリアムを換金目的で売却する企業が増え、投げ売りにより価格がどんどん下がっているのです。
このような背景から、2018年以降のイーサリアムの価格は下落基調にあります。
投資を始めたい人へ 投資初心者にお勧めの記事はこちら!
イーサリアムのチャートは長期的にどうなる?
それでは、今後イーサリアムのチャートは長期的にどのような推移をたどるのでしょか?
ここからは、イーサリアムの価格の上昇要因と下落要因の両方を分析したいと思います。
参考:「イーサリアムのマイニングが終了するって本当?どんな影響がある?」
上昇要因①PoSへの移行に伴うイーサリアムのホールド
現在、イーサリアムのマイニング方式はPoWを採用していますが、将来的にはPoSへ移行する予定となっています。
PoW(Proof of works)とは、コンピューターを使って複雑な計算作業を行い、一番最初に作業を完了させた者が報酬を受け取る方式です。
ビットコインやモナコインなどの多くの仮想通貨が、PoW方式を採用しています。
参考:「ビットコインとイーサリアムの違いを解説!投資するならどっち?」
しかし、計算作業時に膨大な電力を必要とするため、環境への悪影響が懸念されています。
対してPoS(Proof of stake)は、保有する仮想通貨の量に応じて報酬が受け取れる仕組みです。
PoSでは、仮想通貨を多く持っている方が有利にマイニングを進められるため、イーサリアムを売らずにホールドする人が増え、価格が上昇すると考えられます。
参考:「仮想通貨のマイニングの仕組みを理解しよう!PoWとPoSの違いは?」
上昇要因②ウェブボットは緩やかな上昇を予測
ウェブボットとは、仮想通貨の価格を予想するAIです。
ウェブボットは、元マイクロソフトのコンサルタントであるクリフハイ氏と、ジョージ・ユーロが開発しました。
ウェブボットは、SNSから仮想通貨に対する「感情」関連の情報を収集して、仮想通貨の将来の値動きを予測します。
人々の集団心理の変化に着目した分析手法をとっており、よく当たると評判です。
実際に、2018年3月にイーサリアムが価格上昇するという予測が的中しています。
ウェブボットによると、今後イーサリアムはシステムに欠陥が見つかり一時的に下落することもありえるとしながらも、2019年にかけて価格が上昇すると予測しています。
下落要因①競合通貨との競争激化
イーサリアムには価格が上昇する要因がいくつかありますが、下落要因もあります。
イーサリアムの他にもICOプラットフォームとしての機能を持つ仮想通貨が登場し、競争が激化しています。
イーサリアムよりも処理能力が高く、より簡単にICOが行える通貨が登場しており、イーサリアムが苦戦を強いられています。
例えばEOS(イオス)は、イーサリアムと同じようにプラットフォームとしても利用できる仮想通貨です。
EOSは2017年6月にリリースされたばかりですが、2018年時点では7億ドルも資金を調達しています。
イーサリアムのICOプラットフォームとしての機能は非常に大きな強みでしたが、もはやそれはイーサリアムの専売特許では無くなってきています。
下落要因②発行数量に上限がない
もう一つの価格下落要因として、イーサリアムには発行数量の上限が設定されていないことが挙げられます。
通常、仮想通貨には発行上限が決められています。
例えば、ビットコインでは2,100万枚、モナコインでは1億512万枚と定められています。
一方で、イーサリアムには発行数量の上限が設定されていないため、発行数量が増え続けると、一通貨あたりの価値が下がり、インフレを起こす恐れが高いです。
供給上限がないということは、長期的にみると価格が右肩下がりになる可能性をはらんでいるのです。
イーサリアムの長期チャートのまとめ
イーサリアムの今後の価格については、上昇要因と下落要因がどちらもあり、予測するのはなかなか難しい状況にあります。
ただ一つ言えるのが、長い目で見ると、これから仮想通貨市場は右肩上がりで成長していく可能性が高いということです。
仮想通貨に採用されるブロックチェーンという技術は、非常に高いポテンシャルを秘めた技術なのです。
イーサリアムの価格も、基本的には仮想通貨市場全体の値動きにあわせて右肩上がりで推移していくと考えられます。
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