あなたは「信用取引」をご存知でしょうか?
株式投資で信用取引を利用すれば、自己資金以上の取引が可能になりますし、空売りを利用すれば、株価が下落している局面でも利益をあげることができます。
しかし、信用取引は大きな利益を狙える反面、莫大な損失を抱える危険性もあります。
今回はそんな信用取引に焦点を当てて解説していきます。
(この記事は、過去に書かれた記事を2018年8月20日に加筆修正したものです。)
信用取引の仕組み
信用取引とは
信用取引とは、自己資金や保有する株式などを担保に証券会社からお金や株を借りて取引することをいいます。
その特徴はなんといっても、自己資金の3倍までの取引ができることです。例えば、自己資金が10万円しかない場合、30万円までの取引が可能となります。
この場合、利益が出れば、利益は3倍となりますが、損失が出た場合、それが3倍まで拡大することになります。
株価下落時にも利益が出せる
通常の株式投資では、安く買って高く売ることが基本になります。通常の株式投資では、株価が上昇している局面でしか利益を出せないのです。
しかし、信用取引を使って「空売り」という手法を用いることで、株価が下落局面でも利益を出すことができます。
具体的には、証券会社から株式を借りてきてそれを売りに出し、株価が下がったところで買い戻して証券会社に借りてきた株式を返します。そして一連の取引の差額が自分の儲けとなります。
株主優待をお得に受け取れる
信用取引を利用することで、株主優待をお得に受け取ることも可能です。
具体的には、「現物株の買い注文」と「信用取引の売り注文」を同時に出すことで、株の売買手数料と信用取引の費用の負担だけで、株主優待を得るのです。株の「買い」と「売り」を同時に行なっているので、株価の変動リスクはなくなり、手数料の負担だけでお得に利益を得ることができます。
この一連の取引をクロス取引といいます。
要注意!追証とは?
追証とは
私たちが信用取引を始める上で注意すべきは「追証(おいしょう)」です。追証とは、株式投資で信用取引をしている際、追加で保証金が必要になることをいいます。
信用取引では、前述の通り自己資金を証券会社に保証金として差し入れることで取引をします。
さて、証券会社では、証拠金の最低維持率を定めており、証券会社によって異なりますが20〜30%程度の水準で設定されているところが多いです。この証拠金維持率を下回ると追証が発生し、翌営業日〜翌々営業日までに追加で資金を入金し、最低維持率以上にする必要があります。
入金できれば何の問題もありませんが、もしも入金できないと、大変なことになります…。
追証を払えないとどうなる?
追証が発生した場合、翌営業日〜翌々営業日までに追加で資金を入金しないと、証券会社により強制的に決済が行われます。つまり、「買い」を入れていた場合には強制的に「売り」になり、「売り」をしていた場合には「買い」が行われることになります。
追証により、本来は「含み損」のはずだった損失が、「損失」として完全に確定することになります。これが追証が恐れられている理由です。
追証地獄には注意
株式市場というのは、短期的に上下しているものですので、追証を解消するために保証金を追加しても、また追証が発生。そして再度資金を入れているうちにまた追証発生、、、。追証の対応をしているうちに資金が底を尽き、強制決済されて資金のほとんどを失う恐れがあります。
投資に絶対はないということをしっかりと理解しましょう。
信用取引のリスクに向き合おう!
証拠金維持率を確認する
信用取引を始める人は、意外と証拠金維持率を見ていない人も多いようです。ですが、証拠金維持率を確認していないと、いきなり強制決済が行われて、とんでもない損失を抱える恐れがあります。
信用取引を始める際には、必ず証拠金維持率を確認するようにし、自分の投資している株がどれぐらい値下がりしたら追証が発生するのか、あらかじめ確認しておきましょう。
借金していることを認識する
信用取引は、手持ち資金以上の金額を取引できるメリットがありますが、それはあくまで証券会社からの「借金」にすぎません。いつかは必ずその「借金」を返す必要があります。
そのため、信用取引をする際には、通常の株式投資以上に厳格な資金管理が必要なのです。
また、信用取引には各種手数料や貸株料が発生しますので、そういったコストも考慮に入れて投資を進めましょう。
トータルで勝つ発想を持とう
信用取引にはリスクがありますので、時には損をすることもあるでしょう。ですが、損することはあっても、トータルで考えて利益が出ていれば何の問題もありません。
しっかりと投資全体に目を向け、広い視野を持って投資を行いましょう。
信用取引を「しない」発想もある
信用取引はリスクが高くて怖そうですよね。でも、よくよく考えてみると、そもそも信用取引を始める必要はあるのでしょうか?
ここからは、信用取引を「しない」という発想について説明します。
信用取引の必要はあるの?
信用取引を始めれば、たしかに少ない資金でより多くの金額を投資に回すことができます。しかし、その分リスクが高くなりますし、より厳格な資金管理の必要性が出てきます。
であるならば、わざわざ信用取引を始める必要はあるのでしょうか?
投資初心者は、初めのうちはリスクの高い信用取引を避け、通常の株式投資で経験を積み、ある程度慣れてきてから信用取引を始める発想を持つことも大切です。
投資は余剰資金で始める
これは投資の鉄則ですが、投資を始める際には、必ず余剰資金の範囲で行いましょう。
生活資金を使って投資を始めると、投資で失敗した時に大変なことになります。直近で使う予定のないお金で投資を進めることで、投資のリスクを抑えることができます。
投資に絶対はないということを肝に命じて、投資を進めましょう。
参考:「株で失敗して借金まみれ。株式投資で失敗する人の特徴とは」
まとめ
今回は信用取引についてご紹介してきました。
信用取引はレバレッジを効かせられるメリットがありますが、その分、厳格な資金管理が必要になったり、とても難しい投資となります。
しっかりと株式投資の経験を積んでから信用取引を始めるのがいいでしょう。