三越伊勢丹ホールディングス(HD)は9月26日、業績不振の3店舗を閉鎖すると発表しました。
百貨店大手の発表に、驚かれた人も多いことでしょう。
今回の店舗閉鎖には、どのような理由があるのでしょうか?この記事で詳細に解説していきます。
三越伊勢丹が3店舗閉鎖を発表
三越伊勢丹HDは、「相模原店」「府中店」「新潟三越伊勢丹」の3店舗を閉鎖するとのことです。それぞれの店舗の特色について見ていきましょう。
伊勢丹相模原店
伊勢丹相模原店は1990年に開店しました。
ピーク時には売上が377億円まで拡大しましたが、近年は競争が激化し赤字が日常化。2017年度の売上は、ピーク時の半分の195億円程度でした。
2003年度以降は、合計でおよそ100億円の損失を計上しています。
伊勢丹府中店
伊勢丹府中店は、1996年に開店しました。
府中店も、ピーク時には261億円の売り上げをあげましたが、2017年度は148億円に売上が減少しています。
府中店についても、2003年度以降、合計約34億円の損失を計上しています。
なお、伊勢丹府中店については、テナントに売り場を貸し出す新しい商業施設を設ける方向で検討が進められています。
新潟三越
新潟三越は、1936年に小林百貨店として開業し、1980年に新潟百貨店へ社名変更しました。
新潟三越もピーク時の売上が250億円まで拡大しましたが、2017年度は129億円まで売上が落ち込んでいます。
新潟三越の閉鎖後は、新潟伊勢丹へ営業を集約していく狙いがあります。
三越伊勢丹は不採算事業の整理が課題
過去にも数店舗を閉鎖
三越伊勢丹HDが不採算店舗の閉鎖を決めるのは、何も今回が初めてのことではありません。
2017年に三越千葉店と三越多摩センター店を、2018年3月には伊勢丹松戸店を閉店しました。
三越伊勢丹HDがこれだけの構造改革を進める背景には、競争環境の激化が挙げられます。
百貨店事業の業績が低迷
三越伊勢丹は、都心の店舗では訪日外国人観光客や富裕層の来店が多く売れ行きは好調ですが、地方ではショッピングセンターなどの大型店に押されて苦戦が続いています。
また、ネットショッピングの台頭により、かなり厳しい状況に追い込まれています。
なお、今回の3店舗閉鎖の理由については、以下のように報道されています。
記者会見した白井俊徳・常務執行役員は閉鎖の理由について「特に赤字幅が大きく、今後投資をしても回収の見込みがないため」と説明した。
参照:朝日新聞
成長戦略が描けず
三越伊勢丹HDは、2018年度までを構造改革実行時期間としており、不採算店舗の閉店を進めている最中です。
地方や郊外の店舗は売上が伸び悩んでおり、採算性の低い店舗を閉鎖することで、収益基盤の改善を急ぐ考えです。
また、早期退職者を募集したり、保有する株式を売却したり、子会社の清算といった事業整理も、積極的に行っています。
三越伊勢丹HDの2018年3月期連結決算は、構造改革による特別損失を計上したことにより、9億円の赤字となっています。
前期は149億円の黒字でしたが、8年ぶりの赤字に転落しました。
2019年度以降は再成長につなげたい考えですが、具体的な成長戦略については、描けていないのが現状です。
三越伊勢丹閉鎖の理由のまとめ
三越伊勢丹といえば日本一の百貨店グループで、その名前を知らない人はいないでしょう。
ですが、日本一の百貨店グループでさえ、ネットショッピングや郊外にあるショッピングセンターの影響を大きく受けています。
今後、三越伊勢丹HDがネットショッピングやショッピングセンターとどう差別化を図っていくか、動向から目が離せません。
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