ビットコインの分裂騒動とは – 背景から経過まで
背景① ビットコインの処理能力にはもともと問題があった
そもそもビットコインの分裂騒動が起きたのは、ビットコインの処理能力に問題があったからです。
実は、ビットコインの取引の処理能力は、その仕組み上、1秒間に6〜7件ほどです。そのため、ビットコインの取引が世界規模で拡大した現状、ビットコインの取引時間が大幅に拡大していました。
今後ビットコインの利用がさらに拡大すると考えられる中、この処理能力の問題の解決が喫緊の課題でした。
背景② 考えられる対応は2種類
ビットコインの処理能力の問題を解決するためには、2つの方法が考えられます。
一つ目は、ビットコインの取引を記録するブロックのサイズを引き上げる方法、二つ目は取引1件あたりのデータ量を小さくする方法です。
実は、以前からブロックサイズ引き上げの議論は存在していました。ところが、支持を得ることができず、実現しないままでいました。
この処理能力の問題が解決されないまま、ビットコインの取引はどんどん拡大していったのです。
背景③ ビットコインの処理能力の改善:Segwit
ビットコインの処理能力の問題は放置されてきましたが、ここにきてビットコインの開発サイドより「Segwit」と呼ばれる処理能力の改善プログラムの提案がありました。
この提案は、ビットコインの取引あたりのデータサイズを半分程度に圧縮するというものでした。
ところが、この提案を実行するには、マイナー(マイニングを行う人たち)のコンピューターの処理能力の95%が必要であり、マイナーの反対で実現しませんでした。
その後、ビットコインを取引するユーザー主導でSegwitを行う動きが現れました。具体的には、2017年8月1日をもってSegwitを全ユーザーが実装するというものでした。
これが実現すれば、ビットコインの処理能力の問題は改善するはずでした。
経過① 分裂騒動の前夜
ユーザー主導のSegwitが、マイナーの過半数以上の賛同を得られれば何ら問題はないのですが、万が一賛同を得られなかった場合には、大変な事態になります。
Segwitへの賛同が得られなかった場合には、Segwitされたビットコインと通常のビットコインの2つに通貨が分裂する恐れがあったのです。
この場合、Segwitされたビットコインをマイナーが承認しなかった場合、2つの通貨が同時に存在してしまう危険がありました(ソフトフォーク)。
一方の通貨だけが生き残ると、最悪の場合、この期間のビットコイン取引が全て無効になってしまう危険性があったのです。
これは大問題であるため、仮想通貨取引所におけるビットコインの取引が一時的に停止されました。
経過② 8月1日に問題は起こらず
結局のところ、懸念されていた危機は起きませんでした。というのも、7月21日の時点で8割方のマイナーがSegwitに合意したため、ビットコインが分裂する恐れはなくなったからです。
その一方、コンピューター処理能力の2割を握るマイナー最大手のビットメインは、ビットコインキャッシュという新しい通貨を8月1日に誕生させると発表しました。
これにより、ビットコインは従来までのビットコインと、新しいビットコインキャッシュに完全に分裂することとなりました(ハードフォーク)。
このハードフォークにより、もともとビットコインを持っていた人にはビットコインキャッシュが付与されました。
理論上はビットコインの価格が2割下がり、その分ビットコインキャッシュが付与されることで損得がゼロになるはずでした。ところが、安心感からビットコインの価格が大幅に上昇し、元からビットコインを持っていた人は、ビットコインキャッシュが付与された分、儲けることができました。
ビットコイン分裂騒動のまとめ
結局のところ、今回の分裂騒動は、投資家側にとってタダでビットコインキャッシュがもらえるという、おいしい出来事だったことが分かります。
さて、ビットコインの抱える問題が解決したということで、ビットコインの価格はどんどん上昇を続けています。
今後ビットコインがいくらまで値段をつけるのか、目が離せないところです。
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