投資信託を保有していると気になるのが「税金」だと思います。
投資信託のことは勉強しても、税金については全く知らないという人も多いのではないでしょうか??
今回は、そんな方々に向け投資信託の税金についてまとめてみました。
投資信託の税金への理解を深め、効率的な投資運用を目指しましょう!
投資信託における税金の基礎知識
まずは、投資信託における税金の基本的な内容について見ていきましょう。
投資信託の税金は「利益」に対してのみ掛かる
投資信託の税金は、あなたが投資信託から得られた利益に対してのみ掛かります。
つまり、投資信託を購入しただけでは税金は掛かりませんし、投資信託を売って「損」が出たとしても税金は掛からないのです。
あくまで、あなたが「利益」を得たものに対して掛かるのです。
特定口座を利用する
投資信託を購入する際に便利なのが「特定口座」です。
実は、証券会社の口座は「一般口座」と「特定口座」の2種類の分けられます。
「一般口座」とはいわゆる普通の口座のことで、税金の計算や支払いを全て投資家自らが行う必要があります。
一方、「特定口座」では、投資にかかわる税金の計算を全て証券会社が行ってくれます。
特定口座で「源泉徴収あり」を選択した場合、証券会社が特定口座にある投資信託の損益を計算し、利益が出ていればその利益から税金を徴収したうえで利益を特定口座に振り込んでくれます。
投資初心者の方は、税金の計算と支払いの手間がない「特定口座(源泉徴収あり)」で投資信託を購入するのが良いでしょう。
この記事でも、特定口座(源泉徴収あり)で投資信託を購入した前提で、税金の解説していきます。
投資信託における税金の詳細
それでは、いよいよ投資信託での税金について解説していきます。
投資信託で税金が掛かるタイミング
投資信託では、「売却益・解約益・償還差益」と「分配金」に税金が掛かります。
「売却益」とは、投資信託の運用期間中、証券会社に投資信託を買い取ってもらうことにより得られる利益のことを言います。
「解約益」とは、運用期間中に投資信託の解約することにより得られる利益です。
「償還差益」とは、運用期間が終了(償還)した際に得られる利益のことを言います。
いずれの場合でも、最初に投資信託を購入した際の基準価額よりも、売却・解約・償還時の基準価額が高かったこと際、税金が課せられるのです。
最後に「分配金」とは、投資信託の運用の結果得られた収益を、投資家に分配したお金のことを言います。
売却益・解約益・償還差益に掛かる税金
売却益・解約益・償還差益に掛かる税金は、譲渡所得として20.315%となります。これには復興特別所得税を含みます。
特別口座(源泉徴収あり)を利用していれば、自動的に税金分が徴収されますので、特にあなたが税金を計算したりする必要はありません。
例えば、あなたが保有する投資信託を売却した結果、10,000円の売却益が出たとします。
この場合、譲渡所得として約2,000円が掛かり、この金額が証券会社によって徴収された後、差額の8,000円(10,000円-2,000円)があなたの口座に入金されます。
分配金に掛かる税金
投資信託の分配金は「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」に分けることができます。
「普通分配金」は、あなたが投資信託を買った時の基準価額よりも、決算時の基準価額が高かった時に支払われる分配金になります。
これは投資家にとっての純粋な利益(値上がり益)に当たりますので、課税の対象となります。
一方、「元本払戻金」はあなたが投資信託を買った時の基準価額よりも、決算時の基準価額が低かった時に支払われる分配金になります。
これは投資家にとっては元本の払い戻しに過ぎず、本当の利益ではありませんので、税金が課税されません。
投資信託における分配金(普通分配金)への税金は、20.315%となります。これには復興特別所得税を含みます。
なお、運用資産に株式を含む「国内株式投資信託」には、「配当所得」として税金が課せられます。
一方、運用資産に一切株式を含まない「国内公社債投資信託」は、「利子所得」として税金が課せられます。
損益通算ができる
投資信託では、「損益通算」という仕組みを利用して税金を節約することができます。
損益通算とは、利益と損失を差し引きして税金を軽くする仕組みのことを言います。
例えば、投資信託Aで売却損が1,000円、投資信託Bで分配金が1,000円出たとすると、損益通算を利用することで課税対象額を0円(=1,000円―1,000円)とすることができるのです。
なお、同じ特定口座(源泉徴収あり)内であれば、証券会社が代わりに損益通算の計算をしてくれます。
よって、払い過ぎた税金については、翌年に自動的に還付されるようになっています。
譲渡損失の繰越控除ができる
投資信託において売却損が発生した場合、損益通算で利益と相殺できるができます。
しかし、損益通算をしても相殺しきれない「損失」については、翌年以降最長3年間にわたって「利益」と相殺することができます。これを「譲渡損失の繰越控除」と言います。
例えば、今年度損益通算した後、損失が「1,000円」残ったとします。
このとき、翌年度の利益が500円出たとすると、その年の損益通算後の利益は0円(=500円―1,000円)になります。
一方、前年度の損失がまだ500円残っていますので、この損失は更に翌年度に持ち越されることになります。
こうして、最長3年間にわたって、損失を繰り越すことができるのです。
投資信託における税金のまとめ
以上、投資信託における税金について見てきました。
色々な税金について解説してきましたが、特定口座(源泉徴収あり)を利用している投資家にとっては証券会社が全て代行で計算・納付をしてくれるので、実質関係ない話かもしれません。
しかし、税金についてしっかりと理解していれば、より効率的な投資を進めることができると思います。
なお、長期で投資をしている投資家は、分配金が出ないような投資信託を保有していると思いますので、実際に税金を支払うことになるのは、何年も先の話になるのでしょう。
そういう意味で、税金のことなんてすっかり忘れてしまうかもませんが、頭の片隅には残しておくようにしましょう。