あなたは、個人型確定拠出年金というものをご存知でしょうか?
何となく言葉は聞いたことがあっても、その中身について知っている人は多くはないと思います。
この記事では、個人型確定拠出年金の基本から解説していきます。
(この記事は、過去に書かれた記事を2018年7月11日に加筆修正したものです。)
個人型確定拠出年金の基本を理解しよう!
そもそも確定拠出年金とは?
確定拠出年金とは、公的年金だけではどうしても不足してしまう部分を、個人の努力で補えるように作られた年金制度です。
確定拠出年金には大きく分けて「個人型」と「企業型」があります。
企業型は、勤務先の企業が確定拠出年金を導入している場合に利用できます。
個人型は、勤務先の企業が確定拠出年金を導入していなくても利用でき、主にサラリーマンなどが利用できます。
今回は、2つのうち「個人型」に焦点を当てて解説していきます。
ただ、法人型の人も基本的に制度の内容は変わりませんので、参考程度に見ていただければと思います。
どうやって年金を受け取るの?
まず、個人型確定拠出年金の加入者は、毎月一定額を、あらかじめ決められた投資先に積立投資します。
加入者の年齢が60歳以降になるとその投資分を取り崩して、年金として受け取れるようになります。
ここまでは公的年金と同じ考え方ですが、決定的な違いは、運用商品は自分で選択する必要があることと、運用状況によって、将来もらえる年金の額が変わることです。
税金の優遇措置がある
個人型確定拠出年金を利用すると、様々な税制上の優遇措置を受けることができます。
この優遇措置を上手に使いこなすことで、大幅に節税することができます。
投資において、税金は大きなコストとなりますので、税金のコントロールができるのは、大きな利点と言えます。
個人型確定拠出年金のメリット
個人型確定拠出年金では3種類の税制優遇を受けられ、どれも非常に魅力的です。
それそれ順番に見ていきましょう!
毎月の積立額が全額所得控除される
個人型確定拠出年金では、毎月積み立てるお金が、まるまる所得から控除可能です。
しかも、積立金額が多くなればなるほど、控除できる金額も増えていきます。
例えば、年収400万円のサラリーマンの場合、月々23,000円を積み立てると年間55,200円が節税でき、月々51,000円積み立てると、122,400円も節税できます(参考:厚生労働省HP)。
運用中の利益が非課税
投資で利益を上げると、その利益に対して約20%の税金がかかります。
ところが、個人型確定拠出年金の場合には、運用期間中に発生した利益には税金がかかりません。
受け取り時には所得控除の対象
60歳になって年金を受け取るときにも、その受け取り額には所得控除が適用されます。
年金として毎月受け取るときには公的年金等控除、一括で受け取るときには退職所得控除が適用されます。
個人型確定拠出年金では、積立金の投資から実際の支給まで、全てのプロセスで税の優遇措置を受けることができますので、非常に大きなメリットがあります。
個人型確定拠出年金のデメリット
将来の受取額が分からない
国民年金などの普通の年金は、将来受け取れる年金額は、あらかじめ決められています。
一方、個人型確定拠出年金は、将来受け取れる年金額は運用状況に左右されますので、不透明です。
年金の受給を開始したときに市場が大暴落したら、受け取れる年金額が大幅に少なくなってしまう恐れだってあります。
将来の受給額が定まらないのは、確定拠出年金の大きなデメリットといえます。
60歳まで解約できない
個人型確定拠出年金は、60歳に達するまでは原則として解約して換金できません。
資金が長期間にわたって拘束されるのは、個人型確定拠出年金の大きなデメリットです。
これから将来、例えば他にもっと良い投資先が見つかったり、株式市場が閉鎖寸前まで下落したりすることがあるかもしれませんが、個人型確定拠出年金を止めることはできず、大きな機会損失となりかねません。
投資家として成長しない恐れ
これは個人の問題ですが、個人型確定拠出年金の場合、最初に投資先と毎月の積立額を決めたら、多くの人がそのまま放置してしまう傾向があります。
もしかしたら、放置している間に投資先が破綻したり、大幅な赤字が出てしまうかもしれません。
本来、投資は刻一刻と環境が変化しますので、定期的に運用状況をチェックする必要がありますので、せめて一年に一回は毎年発行される運用報告書には目を通しましょう。
個人型確定拠出年金のまとめ
ここまで、個人型確定拠出年金の内容を見てきました。
確定拠出年金は、政府や銀行から積極的に利用促進がされています。
たしかに、税制上のメリットは大変素晴らしいものです。
でも、よくよく見てみると、60歳まで資金の使途が完全に固定され、しかも年金額は上下する可能性があります。
自分のお金の全てを確定拠出年金に振り分けるのではなく、あくまで何個かの投資先の一つとして利用するのが賢明だと思われます。
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