あなたは「先物取引」をご存知でしょうか?
よくニュースなどで先物取引という言葉が取り上げられますが、その仕組みについてご存知の方は意外と少ないと思います。
この記事では、投資の知識を深めてもらう意味で、先物取引の基本とメリット、デメリットを説明します。
(この記事は、過去に書かれた記事を2018年7月11日に加筆修正したものです。)
先物取引の基本を理解しよう!
先物取引と聞いても、いまいちピンとこない人が多いと思います。
まずは先物取引の基礎知識を徹底解説します。
先物取引とは
先物取引を簡単にまとめると、「将来の価格を今の時点で決め、将来その価格で取引することを約束すること」をいいます。
例えば、お米を生産する農家がいるとします。
お米の価格は、その年の収穫状況によって上下しますので、お米農家はあらかじめ将来の取引価格を決めたいと考えています。
そんな時、先物取引を利用すれば、今の時点で取引価格と取引が行われることが保証されますので、たとえ将来お米の値段が下がったとしても、農家は確実に利益を得ることができます。
一方、買い手側としては、あらかじめ将来の売買価格を決めておくことができるため、たとえ米の価格が上昇したとしても、あらかじめ決められた安い価格で購入することができます。
このように、先物取引を利用することで、現時点で取引価格を決め、将来確実に取引できるメリットがあります。
先物取引の種類
先物取引は、「商品先物取引」と「金融先物取引」の2種類に分けられます。
商品先物取引は、取り扱う商品が金や原油など実体を伴うもので、通常、先物取引というときには「商品先物取引」を指すことがほとんどです。
金融先物取引は、金利や指数などの実体を伴わない商品を取り扱います。
先物取引とリスクヘッジ
先物取引の「将来購入する商品の価格をあらかじめ決めておく」という性格を利用して、リスクをヘッジ(回避)することできます。
先物によるリスクヘッジには「買いヘッジ」と「売りヘッジ」の2種類があります。
買いヘッジ
買いヘッジとは、将来価格が上がると予想されるときに、値上がりする前の価格で購入する約束をして、値上がりによる損失を防ぐことをいいます。
価格が上昇しても、安い価格で購入することができますので、値上がりによる損失を回避できるのです。
売りヘッジ
売りヘッジとは、将来価格が値下がりすると予想されたときに、値下がり前の価格で売却する約束をすることをといいます。
仮に価格が下落しても、先物を使って高い価格で売却することができますので、リスクを回避することができます。
先物取引を使った利益の上げ方
先物取引はリスクヘッジとしてだけではなく、投資としても利用することができます。
商品を買う場合、決められた価格よりも実際の価格が上がれば、安く商品を仕入れて市場で高く売れば利益を得ることができます。
反対に、商品の売る場合、決められた価格よりも実際の価格が下がれば、市場よりも高い値段で商品を売れるため、利益を得ることができます。
先物取引を利用した投資は、将来の価格の上げ下げを予想するゲームの側面があり、予想が当たれば利益を得られ、外れれば損失が出ます。
レバレッジを効かせられる
先物取引を行うにあたっては、何も取引金額の全額を支払う必要はなく、将来取引することを約束する「証拠金」を差し入れるだけでいいのです。
先物取引は少ない資金でより大きな取引ができるわけですから、投資効率が良いといえます。
商品の種類
商品先物取引で取引される商品は、大きく分けて農作物と工業品があります。
農作物には、米、とうもろこし、コーヒー豆、大豆などがあります。
工業品は、原油や軽油などのエネルギー資源、金や銀などの貴金属、天然ゴムやアルミニウムなどの工業製品に分けられます。
先物取引のメリット
ここまで先物取引の基礎知識について説明してきました。
ここからは、先物取引をするメリットについて説明します。
身近で知っている商品が多い
先物取引で通常取り扱われている商品は、金、銀、ゴム、原油、米、大豆など日常身の周りにあるものばかりです。
そのため、投資先の商品に興味を持ちやすいメリットがあります。
レバレッジがかけられる
先物取引は証拠金取引ですので、FXのようにレバレッジを効かせて大きな利益を狙うことができます。
なお、FXでは自分でレバレッジを決められるのに対し、先物取引では証券取引所がレバレッジを決めます。
レバレッジが上がることもあれば下がることもあります。
価格変動が激しい商品もある
先物取引で取り扱われるエネルギー資源やコーンなどの国際商品は、価格変動が激しい特徴があります。
そのため、短期間の取引でも大きな利益を狙っていくことができます。
商品がなくても「売り」ができる
先物取引を行なうにあたって、商品を実際に持っていなくても「売り」の取引を行うことができます。
先物取引はあくまで将来、商品を売るという約束をするだけですので、別に現時点で商品が手元になくても良いのです。
商品がない状態で「売り」をした場合には、商品の移動はなく、損益の差額だけ決済されることになります。
先物取引のデメリット
最後に、先物取引のデメリットについても、一通り説明したいと思います。
損失が拡大する恐れがある
先物取引は証拠金取引のため、状況によっては証拠金以上の損失が発生する恐れがあります。
また、事件やニュースの影響で市場が混乱すると、値下がりが止まらずロスカットできないこともあります。
夜間取引に注意
例えば、日経平均株価を対象とした日経225先物の取引時間は、9:00〜15:15、16:30〜翌3:00までです。
取引時間が夜間にわたる先物に投資すると、朝起きたら価格が一気に下がっている可能性も十分にあります。
要注意です。
専門用語が多い
先物取引は、独特な専門用語が多く登場しますので、投資初心者にはハードルが高いといえます。
先物取引を始める前に、専門用語を覚えることから始める必要があります。
先物取引のメリットとリスクのまとめ
先物取引は、身近にある商品を取引できるという意味で、非常に興味深い取引です。
個人投資家が先物取引を行なうことは滅多にないと思いますが、投資の知識として、知っておくといいでしょう。
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