最近、不動産投資をする中で「競売物件」というものが人気があるようです。競売物件を利用すれば、確かに低価格で物件を購入することが可能となるかもしれません。しかし、競売物件には様々なリスクがあります。
そこで今回は、そんな競売物件に潜むリスクについて解説していきます。
競売物件の基礎知識
まずは競売物件の基礎知識から押さえましょう。
競売とは何??
「競売」と聞いて最初に思い浮かべるのが、オークションの日本語訳として使われる「きょうばい」ではないでしょうか??
しかし、今回取り上げる不動産の競売は「けいばい」と発音されるのが一般的です。
競売とは、債務者からの返済を受けらなくなった債権者(金融機関など)が、債務者が所有する不動産などを裁判所管理のもとで強制的に売却し、その売却代金から債務の支払いを受ける手続きです。
競売物件でよくあるのが、債務者が住宅ローンを支払えなくなった時に、債権者(銀行)が競売にかけ、その代金をローンの返済に充てる方法です。
競売実施までの流れ
例えば住宅ローンの返済ができなくなった場合には、まずは任意売却で物件を処分します。任意売却とは、ローンの返済ができない場合に、債務者と債権者、そして主に不動産業者の3人で、納得のいく価格で不動産の売買取引を成立させることをいいます。
しかし、任意売却が不調に終わった場合には、競売へ移行します。競売が行われると、裁判所が競売の公告をし、一定期間の間に入札が行われます。入札で一番高い値段をつけた入札者が物件を購入する権利を得ることができます(落札)。そして、実際に代金のやり取りをして、競売手続きが終了します。
競売物件の特徴
競売物件には、マンションや一戸建て住宅、土地などに限らず、事務所やビルなどもあります。住宅が競売に出される場合には、多くが住宅ローンの滞納が原因です。
競売物件は、相場価格の7割程度の安値で売却されることが多いです。そのため、競売物件を購入することで、通常よりも安い値段で物件を購入可能です。購入価格が安く済むことが、競売が人気である理由です。
競売物件に潜むリスク
それでは、競売物件に潜むリスクについて、具体的に取り上げていきたいと思います。
落札できないこともある
競売物件は入札方式により落札者が決められます。したがって、自分よりも高い値段をつけた入札者がいた場合には、その物件を落札することができません。
最近では、立地がいい物件は入札価格が高騰することが多くあり、通常の不動産取引価格と同じぐらいの価格で落札されることもあります。
物件調査は自分で行わなければならない
通常の不動産取引の場合には、不動産業者や宅地建物取引主任者が物件に関する情報を全て説明してくれます。しかし、競売物件の場合には、裁判所が作成した「現況調査報告書」、「評価書」、「物件明細書」の3点セットと言われる情報以外を知ることができません。これだけでは情報が不足してしまいますので、残りの情報は自分で収集する必要があります。
また、物件調査は入札期日までに行う必要があります。入札期日は1週間〜1ヶ月の範囲で裁判所によって決められるため、場合によっては1週間で物件調査をする必要も出てきます。そのため、競売物件を落札する際には、限られた期間でできるだけ多くの情報を収集する必要があります。
建物の内部が見られない
競売物件を調査する際、物件に居住者がいる場合には、物件の内覧ができないことが多いです。そのため、裁判所から開示される内部写真や間取り図などから、物件の良し悪しを判断する必要があります。
物件に欠陥があっても責任を追及できない
通常の不動産取引の場合には、物件に欠陥があった場合には、それを売主に追及することができます。しかし、競売物件では、欠陥を追及して損害賠償を請求することができません。そのため、落札後に欠陥が見つかったとしても、修理費などは全て自腹を切る必要があります。
競売では物件の明け渡しまで内部を見ることができないことが多いため、隠れた欠陥を事前に見つけるのは非常に困難といえます。
物件やカギの引き渡しが保証されない
通常の不動産売買の場合、代金を支払うとともに物件と鍵の受け渡しが行われます。ですが、競売物件の場合には所有権の書き換えが行われるだけで、物件の明け渡しなどは保証されていません。
もしも物件内に占有者がいる場合には、退去してもらうための交渉を自ら行う必要があります。ただし、この交渉は円滑に進まないことが多いため、明け渡しが長期化する危険があります。
滞納していた費用は落札者が負担する
区分所有の競売物件を落札した際に、もしも滞納している管理費や修繕積立金、駐車場代などがあった場合、その費用は全て落札者で負担する必要があります。通常の不動産取引では、そういった滞納金を負担する必要はありません。
したがって、特にマンションの一室を購入する場合には、3点セットをよく読み、滞納金がないことを確認して入札に参加する必要があります。
リスクを回避して競売物件を購入する方法
競売には様々なリスクがあり、投資初心者は競売物件を購入すべきではないでしょう。ただし、それでも競売物件を購入したい場合には、これから説明する方法を試してみてはいかがでしょうか。
信頼できる不動産会社から購入する
競売物件で失敗しないためには、信頼できる不動産会社から競売物件を購入するのが一番です。不動産会社はプロですから、物件情報を徹底的に調べた上で取引を行なっているからです。
不動産会社から競売物件を購入する際には、たとえ競売から仕入れた物件であっても、通常の不動産取引と同様に「宅地建物取引業法」が適用されます。したがって、安心して競売物件を購入することができます。
競売代行サービスを利用する
競売物件を直接裁判所から仕入れる場合には、プロの競売代行サービスを利用しましょう。個人単位で競売物件を仕入れるのは非常にハイリスクですから、必ず代行業者は利用するようにしましょう。
競売物件に手を出さない
最も確実なリスク回避手段は、そもそも競売物件に手を出さないことです。競売物件は玄人向けの物件ですから、投資初心者は手を出すべきものではありません。通常の不動産物件でも、高利回りなものはあります。ある程度不動産経営に慣れてきてから、挑戦するようにしましょう。
まとめ
競売物件は一見安値で物件を仕入れられる夢の方法のように思えますが、実はかなりハイリスクな物件なのです。この記事で取り上げた内容をしっかりと理解し、安全に不動産経営を進めていきましょう。
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