多くの不動産オーナーが、一度は競売物件に投資することを考えたことがあると思います。しかし、競売物件は非常にリスクが高く、投資初心者には絶対にお勧めできない投資方法です。
今回はそんな競売物件の買い方と、競売の流れについて説明していきたいと思います。
競売を始めるにあたって知っておきたいこと
まずは、競売の基礎知識からご説明したいと思います。
競売物件と通常の物件との違い
通常の物件を購入する場合、宅地建物取引業法が適用され、物件の購入者は手厚く保護される仕組みとなっています。しかし、競売物件の場合には、民事執行法が適用されるだけで、物件そのものに関わる特別な法律はありません。そのため、安全な取引が保証されず、落札者が競売物件の全ての責任を負う必要があります。
競売の参加資格
競売には基本的に誰でも参加できますが、次のような人は対象外です。
競売物件の債務者は、当然競売に申し込むことができません。これは、債権者がお金の回収を無事できるよう、債務者が競売物件を購入するのを防ぐためです。
裁判所が購入資格を制限した時も、制限を有しない人は購入することができません。
また、談合や入札妨害などで、競売の実施を妨げる行為をした人も、競売に参加することはできません。
競売物件の3点セット
競売物件が出ると、全ての競売物件において、いわゆる3点セットという書類が公開されます。それは、現況調査報告書、評価書、物件明細書です。
物件明細書
物件明細書には、競売対象の物件を特定するための情報や、売却条件などが書かれた書類です。物件の所在地や、物件の広さ、売却基準価額などが分かります。各欄には裁判所による短いコメントが記載されています。中には物件の注意を促しているものもあるため、よく注意して見ましょう。
現況調査報告書
現況調査報告書とは、裁判所の執行官が実際に現地調査を行い、物件の現状についてまとめた報告書です。報告書には敷地についての情報や、占有者の氏名や占有状況などが記述されています。
ただし、これは報告書が作成された時点での情報です。報告書が作成された後に、状況が変更されていたり、または情報が間違っていることもあります。
したがって、自分で実際に確認するのが確実ですが、占有者がいる場合には、プライバシーの観点から難しいでしょう。
評価書
評価書は不動産鑑定士が作成しており、築年数や物件の状態、権利関係、物件周辺の環境や法的な規制について説明されています。また、適正価格を算出した根拠も示されています。建物の状態を確認するには、評価書が便利です。
競売情報の入手方法
競売情報を入手するには、自分が希望するエリアを管轄する裁判所の競売物件情報を確認する必要があります。競売物件の詳細な情報は、裁判所にある閲覧室で3点セットの資料を確認するか、BITと呼ばれる最高裁判所が運用する競売専用のサイトから入手することができます。
BITを利用すれば、競売物件をエリアや沿線単位で絞り込むことができますし、マンション、一戸建て、土地、さらに金額などの条件からも絞り込むことができます。ただし、BITで見られる資料では人名が隠されているため、最終的には裁判所の閲覧室で直接資料を見た方がいいでしょう。
競売の入札の流れ
ここからは、実際の競売の流れについてご説明します。競売と聞くと、競りにかけて少しずつ値段が上がっていくイメージですが、実際には一発入札の形式で行われます。そのため、他の人の希望価格を確認することもできず、一度入札してしまうと、入札の変更や取り消しができません。
競売物件の検討
入札に参加するためには、自分が希望する物件を絞り込む必要があります。競売物件の情報を得るためには、インターネットでBITを利用するか、実際に裁判所で資料を閲覧するか、または新聞の競売広告などを確認する必要があります。
3点セットを確認して入札したい物件が決まったら、実際に入札をします。
入札
入札開始日はBIT上で公告されますので、それを確認します。そして、執行官室で入札用紙を受け取り、必要事項を記入します。そして保証金を納付し、入札期間内に入札書を裁判所へ提出します。
開札
開札期日はBIT上で公告されるため、そちらで確認します。 開札期日になると、裁判所に出向くか、またはBIT上で閲覧することで、開札結果が確認できます。
売却許可決定
最高価格をつけた人に対し、裁判所より売却許可決定が下されます。特に問題がなければ、そのまま売却が許可され、晴れて物件の買受人になることができます。
代金納付期限の通知
売却許可決定が確定すると、裁判所書記官が定める納付期限までに、裁判所に代金を納付する義務が発生します。特段の理由がない限りは、売却許可決定確定日から1ヶ月以内に定められます。代金の納付の際には、銀行などのローンを利用することも可能です。
登記
代金を振り込むと、落札物件の登記が行われます。買受人による登記手続きは不要です。
引渡命令
代金納付後、落札した物件に占有者がいる場合には、買受人は裁判所に対して引渡命令の申し立てを行います。その申立に基づき、裁判所は引渡命令を出します。
引渡命令を出しても占有者が自発的に退去しない場合には、さらに強制執行の手続きを行う必要があります。この際、別途費用がかかります。
物件の引き渡し
物件の引き渡しは、買受人の責任で行われます。もしも部屋の中に家具やゴミがあっても、勝手に廃棄することはできません。法律の手続きに基づいて、適切に処理する必要があります。
まとめ
以上、競売の基礎知識と、その流れについて説明してきました。競売物件は確かに安い値段で不動産を購入できる可能性もありますが、物件の情報が不足していることが多く、非常にハイリスクな購入方法となります。
投資初心者は、競売に手を出さないのが無難でしょう。
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