最近、毎月分配型の投資信託が注目されていますが、投資信託を選ぶ際に分配金にだけ注目するのは、非常に危険といえます。
今回はそんな分配金に焦点を当てて、投資信託について紹介したいと思います。
投資信託の分配金の基本
まずは分配金の基本的な内容から確認したいと思います。
分配金とは?
分配金というのは、投資信託が保有する株式や債券などからの利子や配当金、売却益などを投資家に分配したものです。
投資信託の決算のタイミングで、分配金が支払われるかどうかが決まります。
あくまでファンドの利益を分配したものですから、利益が上がっていない場合には、分配金が支払われないこともあります。
分配金には2種類ある
分配金には、2種類あります。
普通分配金
普通分配金というのは、ファンドで利益が上がった場合に支払われる純粋な利益です。
これが一般的に考えられる分配金といえます。
特別分配金
特別分配金は、ファンドが利益を上げていなくても支払われる分配金です。
利益が上げないのにどうして分配金が出せるのでしょうか??
それは、投資元本を取り崩して、無理に分配金を捻出しているからです。
つまり、特別分配金は純粋な利益というよりは、見せかけの利益なのです。
自分の保有する投資信託が特別分配金を支払っているかどうか、一度目論見書や運用報告書で確認してみましょう。
分配金を受け取るか再投資するか
分配金の受け取り方法には2種類あります。
分配金を「受け取る」場合には、一定期間ごとに一定額を受け取れるメリットがあります。
そのお金を生活費に回したり、娯楽費に回すことができます。
分配金を「再投資」する場合、一旦分配金が支払われますが、それが自動的に投資信託の購入資金として回されることになります。
分配金を受け取る場合と比べて、再投資した方が投資資金が積み上がっていきますので、資産形成をしたいならおすすめです。
分配金は本当に必要か?
ここまで分配金について見てきました。
ところで、分配金は本当に必要なのでしょうか??
分配金は生活の足しになるか?
金融機関の窓口や、投資の雑誌を見ていると、毎月分配型の投資信託を前面に押し出す傾向にあります。
では、投資信託の分配金は生活の足しになるのでしょうか??
例えば、毎月3万円の分配金を得るためには、利回り5%の投資信託の場合、720万円の元本が必要です。
投資初心者がこれだけの資金を持っている可能性は低いですし、そもそも常に5%の普通分配金が分配されるのか疑問が残るところです。
その分配金は本当に利益?
どんなに高い分配金が支払われていても、それが元本を取り崩した特別分配金だったら全く意味がありません。
分配金が本当に普通分配金がどうか、一度調べることをお勧めします。
分配金ランキングは意味がない
よく雑誌で分配金ランキングが掲載されていますが、このランキングそのものには意味がありません。
というのも、分配金が多く支払われるということは、それだけとファンドの純資産が減り、基準価額が下落することを意味するからです。
基準価額が下がるということは、分配金でプラスになっても、投資信託を売却した際にはマイナスになってしまい、収支がトントンになってしまいます。
投資信託の基準価額の推移を見て、分配金を出しても基準価額が上がっているか横ばいならいいですが、下がっているようなら、その運用はうまくいってないと考えられます。
分配金よりも注意した方がいいポイント
ここからは、投資信託を購入する際に、分配金以外で注意したいポイントをご紹介します。
投資信託のコストが大切
投資信託で何よりも大切なのが、信託報酬などの費用です。
毎月分配型の投資信託というのは、分配金の金額ばかりが前面に押し出され、そのコストは高くなりがちです。
投資信託の中には信託報酬が2%のものもありますが、最低でも2%以上の運用成果を常に上げ続けなければ元は取れません
下手をすると、分配金を含めた利益以上に手数料が取られている可能性もあります。
しっかりと目論見書に目を通し、信託報酬や販売手数料などを確認することが大切です。
投資信託の基本は、販売手数料無料で、信託報酬は1%以下、できれば0.5%ぐらいに抑えたいところです。
再投資の方が投資効率がいい
分配金が出る場合には、分配回数が少なく、再投資する方が複利の効果で投資効率は上がります。
もっというと、分配金が出ない投資信託の方が、分配金に税金が課されない分、効率は高くなります。
短期的に見ればお小遣い程度の分配金がもらえることはとても嬉しいですが、長期的に見ると分配金がない方が資産形成は確実に早くなります。
まとめ
毎月分配型投信が人気のようですが、分配金に目がくらむと、投資本来の目的を見失ってしまいます。
分配金だけでなく、コストまで含めて投資信託を検討しましょう。