「FX」と聞くと、画面に張り付いて取引している様子をイメージする人が多いのではないでしょうか?
一口にFXといってもその取引手法は様々で、数週間から数ヶ月ポジションを持ち続ける手法や、わずか数秒から数分で取引を終えてしまう手法があります。
今回は、数ある取引手法の中でも「スキャルピング」に焦点を当てて解説します。
スキャルピングは、FXの取引手法の中で最も速い取引手法です。
また、スキャルピングでは「テクニカル分析」が非常に大切となります。
この記事では、FXのスキャルピングとテクニカル分析に焦点を当てて解説します。
(最終更新日:2019年8月9日)
FXスキャルピングの特徴
まずはFXのスキャルピングの特徴から確認しましょう。
スキャルピングが一番早い取引手法
FXの取引手法は、その期間によって4種類に分けられます。
取引時間が短い順に「スキャルピング」「デイトレード」「スイングトレード」「ポジショントレード」となります。
4つの取引手法の中で今回取り上げるスキャルピングが最も取引時間が短く、数秒から数分の間で取引が終了します。
スキャルピングは1回あたりの利益は小さいですが、取引を何回も重ねることで、利益を積み上げていくスタイルです。
また、瞬間的に変化する値動きを利用して利益を積み上げますので、レスポンスの速さ、素早い損切り判断、そういった決断力が取引の勝敗を左右します。
なお、スキャルピングという言葉は「頭の皮を薄く剥ぐ」というのが本来の意味で、FX市場から薄い利益を剥ぎ取るというイメージです。
1回あたりの利益額が少ないので、とにかく数をこなして稼いでいくことになります。
参考:「FXのスイングトレード手法を解説!トレードで勝つための方法とは」
スキャルピングには集中力と時間が不可欠
スキャルピングをするには、パソコンの画面に張り付いて相場を見続けるだけの集中力と時間が必要不可欠です。
トレード技術そのものよりも、ゲームをしているような瞬発力が大切です。
また、システムトラブルがあっても大丈夫なように、取引口座には最低限の証拠金だけ入れておき、不測の事態が起きた場合には、ロスカットで取引を終わらせられるようにしておきましょう。
余裕を持って取引にのぞむことが、非常に大切です。
投資初心者の方への厳選記事 投資初心者にお勧めの記事はこちら!
FXスキャルピングのテクニカル分析のポイント
ここからは、FXでスキャルピングをする際に押さえておきたいポイントを紹介します。
レンジ相場ではなくトレンド相場で勝負する
スキャルピングを行う際には、チャートがある一定の値幅を行き来するレンジ相場ではなく、はっきりと上昇や下落の傾向が見られるトレンド相場で取引しましょう。
その理由は、トレンド相場ですとトレンドの方向性が明らかなため、チャート分析がしやすいからです。
一方、トレンド相場の場合、方向感に乏しく、初心者には難しいといえます。
時間帯を知る
相場にはスキャルピングに適した時間帯というものがあります。
それは、日本時間の15時~翌1時の間です。
その理由は、この時間帯は世界の大きな市場がオープンしているため取引量が活発で、相場が動きやすくチャートも分析しやすいからです。
勝てるタイミングでエントリーする
当たり前といえばそうですが、スキャルピングで勝つためには「勝てる」タイミングでのみ取引することが大切です。
つまり、「勝てるかな〜、どうかな〜」というタイミングでは一切エントリーせず、自分が勝てる王道パターンでのみエントリーするのです。
ここまでやれば、勝率は少なくとも50%を超えますので、FXで勝ち続けることができます。
しかし、実際にこれをやろうとするとかなり難しく、ついつい欲張ってエントリーして失敗するのが人間です。
勝てるタイミングでのみエントリーする、当たり前の考え方ですが、非常に奥が深い考え方なのです。
5分足チャートを選ぶ
投資初心者のうちは、動きが比較的ゆっくりな5分足チャートを使って取引を始めるといいでしょう。
基本的には順張り(相場の流れに乗る取引)で、下げ相場では指値売り注文を出し、上げ相場で指値買い注文を出して利益を得ます。
順張りで勝てるようになってから逆張りなどの方法を取り入れるようにしましょう。
まずは相場の波に逆らわないように取引することが大切です。
損切りをする
スキャルピングでもっとも大切なことが、適切なタイミングで損切りをすることです。
損切りが適切にできないと、資金が大幅に減ってしまったり、含み損を抱えてしまう恐れがあります。
損切りのポイントですが、これは個人個人で決める必要があります。
もっとも簡単な方法が、ポジションを持った段階で逆指値注文を入れておき、自動的に損切りされるようにしておくことです。
損切りができない人はFXで大損する可能性が高いので、注意しましょう。
参考:「FXには借金リスクがあるって本当?FXで失敗するとどうなるの?」
ボリンジャーバンド
スキャルピングする際、チャートを読む助けとなるのがボリンジャーバンドです。
ボリンジャーバンドとは、移動平均線の外側に二本ずつ引いた線のことを言います。
内側の線から±1σ、±2σとなっています。 ±1σに収まる確率が68.3%、 ±2σに収まる確率が95.5%と決まっています。
したがって、±2σ付近までチャートが接近すると、かなりの確率で相場が反転することになりますので、そのタイミングで取引を仕掛けることが有効です。
スキャルピングをする際には、他にも様々な知識が必要となりますので、しっかりと勉強してから取引を始めましょう。
FXスキャルピングのメリット
ここからは、FXスキャルピングのメリットを紹介します。
相場の影響が少ない
スキャルピングではポジションを持つ時間が短く、相場の大きな変動による影響をほとんど受けないメリットがあります。
つまり、大損するリスクは小さくなるということです。
スキャルピングには大損するイメージがありますが、実は大損しにくい取引手法なのです。
狙いと違った値動きをしても、短時間で損切りすることで損失額を少なく抑えることができます。
回数をこなせるため、経験値が早く積める
スキャルピングでは、一日に何度も取引をしますので、それだけ多くの経験値を積むことができます。
短期間のうちに何度も成功と失敗を繰り返すことになるので、それだけ課題が浮き彫りとなり、都度改善することで取引の質が向上するでしょう。
自動取引ができる
一定の値幅で変化を繰り返すレンジ相場の場合、下降の始まりと上昇の始めりを捉えることで自動取引することもできます。
自動取引専用のソフトも販売されており、1日中パソコンの画面に張り付いて相場を観察する必要もありません。
夜はよく眠れる
スイングトレードやポジショントレードは、ポジションを翌日に持ちこすため、為替相場が気になって夜も眠れないことが多くあります。
ですが、スキャルピングならポジションを翌日まで持ちこすことがないため、夜も安心して寝ることができます。
FXスキャルピングのデメリット
1回あたりの利益が小さい
スキャルピングでは1回あたりの利幅が小さいため、取引を積まないといけないデメリットがあります。
さらに、スキャルピングはただでさえ利幅が小さいことに加え、スプレッドによって収益が圧迫されます。
そのため、スキャルピングはコストパフォーマンスが悪いと言えます。
ですので、根気よく取引を積むことが大切です。
大きな利益を狙えないのが、スキャルピングの大きなデメリットと言えます。
チャートに張り付いていないといけない
スキャルピングでは、常にチャートに張り付いていないといけないデメリットがあります。
トレードの間隔が狭いので、常に売りと買いの判断を繰り返し行う必要があるのです。
デイトレードやスイングトレードは、ある程度ポジションを持ったら放置することも可能ですが、スキャルピングをするなら覚悟が必要です。
口座が凍結される恐れがある
スキャルピングで気をつけたいことが、 FX会社によって口座を凍結される恐れがあることです。
というのも、数秒で何回もの取引をするスキャルピングは、FX会社のサーバーへの負荷が大きく、システムダウンにつながる恐れがあるからです。
もしも自動売買ソフトを使っている人がいたら、口座凍結の恐れがない会社を選ぶようにしましょう。
ただし、手動でスキャルピングをしている場合には、口座凍結の恐れはないようです。
ストップ狩りの危険がある
ストップ狩りとは、ヘッジファンドが意図的に大量の売買を仕掛け、投資家の逆指値注文を発動させ、利益を刈り取ることをいいます。
ヘッジファンドが大量に売り注文を出すと、それにつられて相場も下がり、逆指値注文によってさらに相場が急激に下落します。
そして、投資家が必死に損切りしているのを横目に、ヘッジファンドは下落した通貨を買い戻して利益を確定します。まさに「狩り」をするのです。
FXではストップ狩りで負けてしまうことがありますので、高度な資金管理能力が不可欠です。
投資初心者の方への厳選記事 投資初心者にお勧めの記事はこちら!
勝つためのFX会社の選びの基準
ここからは、スキャルピングに適しているFX会社の選び方を説明します。
高速で注文できる
スキャルピングの基本は、とにかく高速で取引を繰り返して利益を稼ぐことです。
したがって、取引したい時にすぐに開始できるよう、ワンクリックで注文できる会社を選ぶといいでしょう。
また、複数に分けて購入したポジションを同時に決済できる会社もありますすので、スピード命のスキャルピングでは重宝するでしょう。
このように、高速注文できる会社を選ぶことが大切です。
スリッページが起きにくい
スリップページとは、注文を出した際のレートと、実際に約定したレートとの間のズレのことをいいます。
例えば、101円で買いたいと思って成り行き注文を出したとします。
しかし、次の瞬間にレートが102円に変わってしまい、約定したのが102円になったとします。
この時のズレのことをスリップページといいます。
スリップページですが、約定ボタンを押した時から実際に約定するまでのスピードが早いことが求められますので、事前にスリップページが起きにくい会社の情報を収集してからFX会社を選びましょう。
スプレッドが狭い
スキャルピングではとにかく取引回数を積む必要があるため、スプレッドが広いとそれだけ利益を圧迫してしまいます。
副業でスキャルピングをしている人でも1日に30〜50回ほど取引することになりますので、1日だけでも手数料がかなりの金額となります。
よって、スプレッドがなるべく狭い会社を選ぶようにしましょう。
FXのスキャルピングとテクニカル分析のまとめ
ここまで、FXのスキャルピングについて説明してきました。
FXには他にもトレードスタイルがありますので、いろいろなスタイルを試してみて、自分に合ったスタイルを確立してみてくださいね!