不動産を購入するためには、金融機関でローンを組む必要があります。住宅を購入したいのなら住宅ローン、投資用物件を購入するなら不動産投資ローンを利用します。
一般的には、ローンを組む際には頭金が必要といわれていますが、中には頭金なしでもローンを組めることがあります。それが「フルローン」いわれるものです。
この記事では、フルローンだけでなく、ローン全般について解説していきます。
【この記事は、過去に書かれた記事を2018年8月22日に加筆修正したものです。】
この記事の目次
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
不動産投資ローンは、住宅を購入する際に利用する住宅ローンとはかなり異なった内容のローンです。まずは不動産ローンの基本から確認しましょう。
不動産投資ローンとは
不動産投資ローンとは、投資用の不動産を購入する際に利用する金融機関のローンです。これに対して、自宅を購入する際に利用するローンを住宅ローンといいます。
住宅ローンを使って投資用不動産を購入することはできませんし、逆もまた然りです。
住宅ローンより金利が高い
不動産投資ローンは、住宅ローンと比べて金利が高い特徴があります。
そもそも住宅ローンは、会社からの給料という安定収入が返済原資となるため、金融機関としては返済原資についてそれほど目くじらを立てる必要がありません。また、返済が滞れば担保にしている自宅を追い出されることになるため、住宅ローンを組んでいる人は必死で返済しようとするのが普通です。
金融機関としては、住宅ローンのリスクはそれほど高くはないため、金利が比較的低くなる特徴があります。
一方、不動産投資ローンの返済原資はあくまで家賃収入となるため、賃貸経営が上手くいかず家賃収入が減った場合に、返済が滞るリスクがあります。
金融機関にとって、不動産投資ローンの方がリスクが高いため、それだけ金利が高くなるのです。
審査が厳しい
不動産投資ローンは、住宅ローンと比べて審査が厳しい特徴があります。
住宅ローンの主な審査材料は、個人の属性です。具体的には、勤務先や勤務年数、年収、そして過去の返済実績などの信用情報が調べられます。また、返済が滞ると住居を取り上げられることになり、多くの人が必死に返済すると考えられるため、金融機関としても審査の基準が比較的緩くなっています。
一方、不動産投資ローンでは個人の属性だけでなく、物件の収益性と担保価値が見られます。
物件の収益性では、その物件が現在から将来にわたって安定的に収益を上げられるかどうか調べられます。当然、賃貸経営が失敗するリスクも孕んでいます。また、担保価値とは、万が一返済が滞った場合、その物件を売却したらどれぐらいの資金が回収可能かを判断するものです。
不動産投資ローンは、考慮すべき変数が複数あるため、審査基準は厳し目となっています。
不動産投資ローンを利用できる金融機関
不動産投資ローンを利用できる金融機関は色々とありますが、各金融機関によって審査基準や融資条件は異なっています。一般的には、都市銀行、地方銀行、信用金庫、ノンバンクの順に審査基準が緩くなり、金利が上がっていきます。
都市銀行
三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行などのメガバンクや、りそな銀行が都市銀行にあたります。審査基準はかなり厳し目ですが、その分金利が低いため、最初に審査に持ち込む際には、都市銀行から始めるのが定石です。
ただし、審査は本当に厳しいので、ある程度不動産投資の規模が拡大してから利用するのが一般的です。
地方銀行
地方銀行は、不動産投資ローンに積極的といえます。
有名なところですと、スルガ銀行や静岡銀行、千葉銀行などが挙げられます。上記3行は不動産投資の世界では非常に有名な銀行で、審査基準が比較的広い特徴があります。
なお、地方銀行の場合、融資可能エリアが限定されてしまうデメリットがあります。審査を持ち込む前に、事前に融資可能エリアかどうか確認するといいでしょう。
ノンバンク
不動産投資の世界では最後の砦と言われるのがノンバンクです。
ノンバンクとは、預金は行わず、融資のみを行う金融機関です。審査スピードが早く、審査基準も比較的緩いです。ただし、その分金利が非常に高いため、事前に収支計画をしっかりと立てることが大切です。
なお、繰り上げ返済をする場合、高額な手数料が取られることもあるため、ノンバンクから一度借りてしまうと、なかなか借り換えづらい特徴があります。
また、ノンバンクで融資を受けると、他の金融機関から「この人はノンバンクからしか融資を受けられない人」とマイナス判断(信用毀損)されることもあるため、注意が必要です。
まずは都市銀行→地方銀行の順に審査を申し込み、それでも審査が通らなかった場合にノンバンクを利用するのが定石です。
政府系金融機関
政府系金融機関としては、日本政策金融公庫が挙げられます。
日本政策金融公庫は1%台の金利で融資をしてくれる金融機関で、融資にも比較的積極的です。特に若手や女性の支援に積極的のため、該当する人は積極的に利用したい金融機関です。
ただし、融資期間は通常は15年のため、毎月のキャッシュフローが出にくいデメリットがあります。
不動産投資ローンの審査のポイント
不動産投資ローンの審査を申し込む際には、以下のポイントに注意するようにしましょう。
借入残高
借入残高とは、住宅ローンや自動車ローンなどの借入金の残高のことをいいます。
当然、借入残高が多いと、融資を受けるのは厳しくなってきます。不動産投資ローンを組む際には、不必要なローンは一括返済しておくようにしましょう。
返済実績
例えば、過去にローンの返済が滞っていたり、自己破産していた場合には、金融機関から融資を受けるのは難しいでしょう。自分の返済実績が気になる方は、信用情報を照会するサービスがありますので、一度調べてみるといいでしょう。
勤務先
金融機関は、勤務先も重要な審査基準としています。もしも勤務先が倒産したら、ローンの返済ができなくなる可能性があるからです。
一般的な審査基準としては、上場企業か、それに準ずる規模の会社であるかどうかです。従業員数や資本金、売上などで判断します。
勤続年数
勤続年数が3年以上あるかどうかも、判断基準となります。3年以上の勤続年数があるかどうかは、収入が安定していることの証拠とされます。
雇用形態
やはりパートやアルバイト、派遣社員などの場合には融資を組むことができません。融資対象者は、サラリーマンや公務員などの安定した収入がある人に限定されてきます。
年収
通常、不動産投資ローンの下限年収は、500万円だと言われています。年収が高ければ高いほど不動産投資の世界では有利です。
しかし、この年収に届かなくても、融資内容や物件次第では審査が通ることもありますので、諦めないで挑戦してみましょう。年収が低い人は、価格の安い区分マンションから融資を進めていくのが定石です。
これ以外にも、物件の収益性と担保価値も非常に重要な審査基準となります。
まとめ
今回は不動産投資ローンについて解説してきました。
私自身、年収が400万円台だったため、普通に融資を受けようとしても難しいところがありました。そのため、まずは区分マンションから投資をスタートし、徐々に規模を拡大する戦略を取っています。
あなたもローンの審査を通して、不動産投資をスタートしましょう!